RICOH GRⅢx
倉敷のホテルを出発し、ガソリン補給しつつ東へ走って訪れたのは岡山城。備中松山城ほどの熱量は無いのですが、倉敷からも近いしせっかくだし、ここでスルーしたらたぶん死ぬまで行かないだろうと思い、立ち寄っとくことにしました。ちなみに、城めぐり熱量を下げてしまう原因は鉄筋コンクリート造りだから…ではなく、歴代城主のなかに宇喜多や池田と名を連ねて、「戦国時代の有名な裏切り者と云えば…」のあの小早川秀秋がいるからです。
まずはその前に腹ごしらえを。【岡山 ご当地グルメ】で検索してみても「おぉ~!!コレ、聞いたことあるぞ」というモノがまったく出てこないのですが、かろうじて気になったのがデミかつ丼。デミグラスソースをかけたカツ丼ということでしょうか。どうせなら発祥の店で食べようと岡山市内の『野村』に行きましたが、開店時刻ジャストに到着してみると、店の前には誰もいません。(意外と知られていないんだな…)なんて思いながら呑気に店内に入ったら、実はもうすでに満席寸前、なんとか残りひとつのテーブルに座ることができました。注文したのは、それぞれが小さめの丼で提供される孫バージョンのデミかつとノーマル卵とじのコラボ。小鉢ではなくそれなりに大きめのどんぶりでしたが、それにしてもやや高額です。そして肝心のお味のほうは、ふぅ~~ん…??なのでした。大半が県外からの観光客だと思うのですが、高揚感あふれる「おいしいね!」なんて会話も聞こえてこないし、みな黙々と食べて店を出ていきます。静まり返った店内がちょっと不気味でした。まぁ~、ご当地モノ話のネタとして食べたと思えば…ですね。それでも食べ終えて表に出てみたら、店の前にはなかなかの行列が出来ていました。

烏城(金烏城)


その黒い外観から烏城(うじょう)、または金箔の装飾が黒色に映えるさまから、金烏城(きんうじょう)とも呼ばれる平城、岡山城。見た目は同じブラックシルエットの松本城よりも豪華で煌びやかですが、あちらは今も懸命に保守修繕されている国宝の現存天守。コンクリート天守と比べてはなりませぬ。
さて。内堀を目安橋で渡って本丸へと進んでいくと、いきなり正面には巨大な石垣が。おかげでテンションが上がります。
石垣群



不明門(あかずのもん)石垣の下敷きとなっている巨岩や、発掘調査によって地中から現れた石垣も有名ですし、また、完成度が異なる隅角部の算木積や、野面積から打込接へと工法が変わっていく宇喜多~小早川~池田時代の変遷なども面白い石垣群です。

天守の礎石

コンクリート復元工事の際に、レイアウトを保ったまま本段内で移設された礎石。名古屋城の礎石の上ではこどもがケンケンパーして遊んでいましたが、ここの礎石も、何人もの観光客が弁当を食べる椅子&テーブルの代わりに使っていました。『全国コンクリート天守あるある』なのかもしれません。
不等辺五角形

岡山城で有名なのが、石垣の鈍角(しのぎずみ)。山の形をそのまま利用する山城ではよく見られる形ですが、なぜ平城で石垣を直角にせずこのような形にしたのか、理由はわかりませんでした。
不明門



跡地のままの鉄門(くろがねもん)から昭和に復元された不明門(あかずのもん)へと進むと、正面には現存らしき六十一雁木上門(ろくじゅういちがんぎうえもん)と天守礎石が。そして、本段左手を見上げれば天守です。
廊下門と月見櫓


1966年コンクリート復元の廊下門。上に載せられた廊下は城主専用の通路となっていて、この門の内側部分が表書院や泉水のあった中庭、中の段です。



中段の隅櫓であり、廊下門の脇にある、現存の重要文化財月見櫓。外側には石落としを備えた唐破風があり、櫓へと続く土塀を内側から見ると、外からはわかりにくい狭間が礎石との境界部分にいくつも設けられています。
六十一雁木上門

天守台石垣の鈍角を眺めながら川沿いを下の段の方向に歩いていくと、本段の礎石近くにあった六十一雁木上門を見ることができます。この階段が昔は61段もあった…ということらしいのですが、門自体は1966年に木造復元されたものです。
天守と塩蔵(付櫓)








1966年にコンクリート再建された天守。空襲を受けたときの焼け跡が残る部分と再建時に新たに積まれた部分で、天守台の石垣の色がくっきりと異なっていることがよくわかります。こちらから見上げると付櫓の塩蔵も黒色なので、天守の黒くてナローな鈍角シルエットが強調されてなかなかセクシーです。
日本の城と、日本の桜

ここでソロの外国人観光客が、私よりも熱心にシャッターを切っていました。もっとも彼は自撮り棒&スマホのスタイルでしたから、リアルタイムで母国にSNS発信しているのかも。家族も一緒に楽しめるし安心でしょうね。
庭園には興味が湧かないので、すぐ隣りにある有名な後楽園はパス。また、重要文化財西之丸西手櫓は本丸西方400mの市街地にあるらしいのですが、その存在自体をこのとき知らなかったので、街ブラ中に立ち寄ることはできませんでした。

城めぐりを終えたら、土産物を買うために岡山市内を徒歩でウロウロ。その途中で出会ったのは、黄色い路面電車と、黄色の旗が目印『キムラヤ』のバナナクリームロールパン。これは「どぉーせよくありがちなパサパサの菓子パンでしょ?」と侮っていたのに、とってもおいしかったです。
土産メモ


ウチの猫にも土産を。そして日本三大まんじゅうは、もちろん柏屋薄皮饅頭の圧勝です。