ヴァル・キルマー死去
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最近、そそられる映画の公開もないので、久しぶりに浴びときました。どれも、公開時に映画館で観ようか迷った作品です。
『リボルバー・リリー』は、映画館で観なくてよかったなと、しみじみ。綾瀬はるかって、なかなか良い作品に恵まれませんね。逆に『最高の人生の見つけ方』は、このふたりの共演で駄作になるわけがなく、しかも期待どおりのステキなお話でした。『IT.』。一作目は観ていたのですが、スティーヴン・キング原作の映画だから観に行くといった習性はないので、続編も「ふぅ~~ん…」な感じ。「小説の世界を超えることはないけど、とりあえず観ておく」ってとこです。『フェラーリ』は、メーカー創業者の人生を重くリアルに描いた、きっとマニア垂涎ものの映画。個人的には、F1でセナと競っていた頃のアラン・プロストのイメージしかないのであまりピンとこない作品ではありましたが、物語が淡々と進んだ挙句に描かれた、ラスト近くのレース中の事故描写があまりにもリアルすぎて、強烈な印象が残ることになりました。
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CASIO EX-ZR3000
『アウトサイダー』を読み終えた時点でしばしのスティーヴン・キング断ちを決心して、司馬遼太郎の『坂の上の雲』を約30年ぶりに読み始めました。今現在、NHKにて放映されているテレビ版を全話観終えてからにしようと思っていたのですが、辛抱堪らず。全8巻ですので、しばらくキングは忘れてこれにのめり込みます。
旅順要塞攻防のシーンで『侍タイムスリッパー』山口馬木也が登場して「おぉ~!」と。うれしくなって調べたら、大河ドラマ『麒麟がくる』『鎌倉殿の13人』にも出演していたとのことですから、この方の演技は観ていたわけですな、今までも。
それにしても、このNHK版『坂の上の雲』。一話あたりの製作費が2億円だったとも言われていて、たしかに映像のクオリティの高さがそこらの映画よりもうんと上で驚きます。原作が大好きなだけに、「NHK?どぉーせチープなドラマにしちゃったんでしょ?」と侮ってリアルタイムで観なかったことを反省しつつ、今回の再放送を真剣視聴中です。
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クドカン脚本と言われてもピンとこないし、あの『正欲』と同じ監督の作品だと知れば期待値もガクンと下がる…。それでも私が映画館へとでかけたのは、ひとえに「東北の物語だから」です。そして、これがとっても素敵な映画でした。たちまち菅田将暉のファンです。
まずは俳優陣に痺れます。菅田将暉と井上真央が出演しているのは知っていましたが、我が青春の中村雅俊、『658km、陽子の旅』で知った竹原ピストル、茂子さんを演じた白川和子、そして、あのビートきよし。みなさん、いい味出してました。特に菅田将暉&中村雅俊のコラボときたら。私たち『俺たちの旅』や『ゆうひが丘の総理大臣』を観ていた世代にとって、この作品で演じているおバカでまっすぐ一途な西尾晋作役が見事にハマッている菅田将暉のこの立ち位置こそが、まさにあの頃の中村雅俊だったわけで。このふたりの共演、なんてステキなんでしょう。そして井上真央の横顔にも、ハッとする美しさが。この人、こんな役者さんだったんだ…。
舞台は東北の宇田濱(三陸の架空の町)、時代背景はダイヤモンドプリンセス号の乗客が集団感染を起こしたコロナ騒動初期の頃。あのバカバカしいまでの「保てソーシャルディスタンス!」、「つけろマスク!」、でもって、陽性さんは出勤停止、ホテルで隔離は2週間、消毒検温ロックダウン、はたまた「県を跨ぐな!」の大合唱が今となっては懐かしい、そんな時代背景に生きる三陸の町の人たちと、そこに東京からひょっこりとやってくる男の物語ですが、『無頓着な東京者VS濃厚接触を避けなければとんでもない災いを町に及ぼしてしまうという恐怖心の塊』のやりとり(空き家でいきなり二週間の隔離措置!!に笑います)を経て、ラスト近くでは同じふたりが同じ部屋でしっかりと抱き合うというこの空き家での対比が、あのコロナ騒動を想起することでさらに印象深いシーンとなっていました。
唯一、これさえなければもっと…と思うのは、ももちゃんの幸せを祈る会??でしたっけ、あの漫画みたいな四人組の、オラついてギャーギャー喚くだけのキャラ。とにかくうるさいし不快感しかないし、要りますか、この人たち??って感じ。居酒屋店主の竹原ピストルだけで良くないですか??そのいっぽうで、それならあの熊こそ如何なものか!?となりそうなところですが、終盤の芋煮会でまさかの(まさに)いい味を出すので、あのチープ感も含めて、こっちはギャグとして許せちゃいました。
コロナ、東日本大震災、過疎化や孤独死、空き家問題。様々な課題をギュッと詰め込んだ作品でしたが、そのいっぽうで、駄作『孤独のグルメ』よりもよっぽどおいしそうな東北の料理の数々と、それらを心の底から美味そうに食べてみせる菅田将暉が実に良いのです。『侍タイムスリッパー』、『アイヌプリ』、そしてこの『サンセット・サンライズ』。年末年始の邦画ザンマイは、3勝1敗って感じです。映画館を出たあとも、茂子さんと西尾のやりとりシーン、車の中でこどもたちの声を再生して涙する百香のシーンがいつまでも…。そして、誰もが仕事中に、あるいは人生のどこかで、きっと心の中で叫んだことがあるに違いない「本当はぁー!〇〇なんてぇー!どぉーーーっでもいいですっ!!」。菅田将暉が叫ぶあのセリフとあのシーンが、きっとあなたの琴線にも触れるはずです。
スクリーンに映し出される三陸海岸の風景を、(旅の途中で見た場所かもしれない)と食い入るように見つめていた2時間ちょいの映画。あぁ~、早く東北行きてぇ~! 東北の美味いもん食いてぇ~! ハモニカ焼きも食ってみてぇ~! 中村雅俊が女川町の出身だったなんて知らんかったぁ~! 菅田将暉が描いたあの絵欲しいぃ~~!!
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たまたまつけたテレビで、途中からなんとなく観たことがある番組…という程度である私(五郎さんの職業もこの映画で知った)には無理があったのか、そうは言っても、正月気分で(ゆる~い映画でも…)という程度の、地上5センチの高さにまで下げたハードルで鑑賞しましたのに、冒頭、スクリーンに大写しされたフランスの風景と五郎さんのチープな合成映像に早くもつまづき、(素人?あっ!?もしかして原作者のカメオ出演??)と勘違いするほどの某俳優さんの演技に萎え、「ここが笑うとこですよぉ~」「ここはホロリとするところですよぉ~」の押しつけがましさに、(そうか…劇映画とは学芸会という意味だったのか)と納得する、そんな韓国向け映画でした。
「つまらぬモノを観てしまった」
by 五右ェ門
これに尽きますな。
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「祝ゴールデングローブ賞!!」ということで、『SHOGUN 将軍』がテレビ部門の作品賞、真田広之自身も主演男優賞を獲得。私、千葉真一の大ファンでしたので、『柳生一族の陰謀』とか『影の軍団』とか、時代劇といえば千葉モノばっかり観ていました。真田広之はJAC門下生として千葉作品に数多く出演していましたし、『高校教師』も思い出しますし、トム・クルーズやキアヌ・リーヴスとの共演などで、日本のTVドラマファンはもとより、世界中の映画ファンを魅了してきた俳優さんです。「あともう少し身長が高ければ…」の批評にも「そんなの関係ねぇ~!!」とオッパッピーしてきたところは、トム・クルーズと重なります。新年早々、とてもめでたいニュースでした。
さて。2025年の映画一本目。タイトルの『アイヌプリ』とは、「アイヌ式」という意味。釧路の西側に位置する白糖町で、民族の伝統を実践し、次の世代にも継承しながら暮らしている、アイヌの人たちの様子をおさめたドキュメンタリー映画です。
北方領土について語る「ロシアのものだ、いや、日本の領土だと。でも、元々はアイヌのものだとは誰も言わない」という言葉にドキッとします。少し前に読んでいた司馬遼太郎の『菜の花の沖』には、江戸幕府と帝政ロシアの板挟みとなって搾取されるアイヌの人々が描かれていましたが、この映画では、その末裔の人たちが今も森で鹿を狩り、伝統漁法で鮭を獲りつつも、スーパーで鹿肉を買い求め、漁船に乗り込んで生計を立てるための現代漁をしている日常が捉えられています。それは決して堕落したとか同化してしまったとか、そういう類の話ではなく、むしろ、この国にあってこれほど生命に感謝し神に首を垂れる日本人が他にいるのかという、観る者への痛烈な問いかけに感じます。「参拝時には住所と氏名を言え」とか「鳥居の真ん中は神様が通るから端っこを歩け」とのたまう、滑稽なエセ神道とは次元が違います。観ていて思いました。もしも神や信仰について学ぶなら、ぜひともこの人たちから学びたいものだと。なにより、登場するアイヌのみなさんの澄んだ目が、とても印象的です。
ラストは、親子で北方領土に想いを馳せながらキャンプする、美しい夕暮れのシーンで終わります。82分と短いドキュメンタリーでしたが、もう少し観ていたかったなぁ~と感じるエンドロールでした。
『侍タイムスリッパー』に続き、いい映画を観ることができて満足です。そうそう、『侍タイムスリッパー』はまだ上映中ですが、ミッドランドシネマでは、18歳未満500円キャンペーンをやっていましたよ。『アイヌプリ』も『侍タイムスリッパー』も、一番小さいスクリーンでいいのでロングラン上映を続けてほしい映画です。
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「功労賞…功労賞…功労賞…、なのに未だに大佐のままだ。なぜだ」
先日、トム・クルーズがアメリカ海軍から特別功労章を授与されたというニュースに触れて、またまた『ジャック・リーチャー』が観たくなりまして。こっちは陸軍ですけど。ついでにアレコレ、今年最後の【自宅で映画ザンマイ】しときました。
これ以降、残念ながらシリーズ化とはならなかった『アウトロー』の続編『ジャック・リーチャー』。そうではないとわかりつつも実の娘のように愛しく想うラストシーンに見せるトムのまなざしが、たまりません。『ミュンヘン』は、スピルバーグ監督作品だからというよりも、『007慰めの報酬』で共演していたダニエル・クレイグとマチュー・アマルリックが出ているということで。『シャイニング』の雰囲気も漂う『シャッターアイランド』は、来るぞ!ラストに大どんでんがえ…エッ??そのまんま??『ラン・ハイド・ファイト』は、『ダイハード』や『ホームアローン』系の女子高生版でイマイチ。『ユージュアル・サスペクツ』は、たしかにラストには驚くけど、なんだか最初から最後までストーリーに集中できないナゾの映画。『グラン・トリノ』は、イーストウッドだからという理由だけでたまに観たくなる作品ですが、本国アメリカでは彼の最新作が残念な扱いを受けている(日本でも)らしく。もう高齢(94歳!!)だし、これで監督業からも引退でしょうね。
いよいよ来年5月23日には、待ちに待った『M:I』最新作が日米同時公開。楽しみです。とりあえず、久しぶりに『トップガン マーヴェリック』を観るかも。だが、今日ではありません。
そして本日は、思わず「えっ!?」と声をあげてしまった、とっても衝撃的なニュースがありました。
スズキの鈴木修さん、死去。イーストウッドと同じ94歳でした。残念です。ご冥福をお祈りいたします。
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久しぶりに【本当に良い映画】を観た気がします。単館上映から、11月末には全国344劇場にまで拡がった低予算の自主映画。確かにB級かもしれませんし、号泣でもなければ爆笑でもない…にしても、映画館でこれほど泣き笑いを誘われ、ジーンときたのはいつ以来でしょう。水野晴郎さんがご存命なら、「いやぁ~、映画ってほんとにイイもんですねっ」と、きっとこの作品に呟いたことでしょう。時代劇の切られ役『侍タイムスリッパー』と、主演の代わりに身体を張るスタントマンの『フォールガイ』。今年は奇しくも日米映画が揃って縁の下の力持ちに光をあてた年となりましたし、どちらも素晴らしい作品でした。この映画を観終えたときにはもう、ひとり妄想を始めていました。幕末から現代へタイムスリップし、その後の会津藩を襲った悲劇を知ってしまった主人公が、優子さんとともに(そしてあのうっかり八兵衛みたいな会津藩士も)会津若松から遠く下北半島や五稜郭まで慰霊の旅に出る、続編『旅する侍タイムスリッパー』を。
時代劇を愛してやまない人々が訴える「今日がその日ではない」のセリフは、『トップガン マーヴェリック』でトム・クルーズが呟く「But not today.」と重なります。劇中のパイロット不要論と、世の中の「わざわざ映画館で観る大作映画はオワコンだ」という声、その両方にかけたセリフだと言われている、トムの「でも、今日じゃない」。制作費10億円をかけた『十一人の賊軍』の100倍は面白い、制作費たった2600万円のこの時代劇にも、映画を愛する人たちのたくさんの愛が詰まっていましたよ。
2025.3.15 追記
第48回 日本アカデミー賞。最優秀作品賞受賞おめでとうございます。
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シカゴに実在したアウトローズ・モーターサイクルクラブの日常を撮影した、1968年出版の写真集『The Bikeriders』をもとに制作された映画です。1960年代終わりから1970年代にかけて描かれるクラブの栄枯盛衰、草レースやツーリングを楽しむ地元の集まりからやがて悪名高きヘルズ・エンジェルスのような集団へと変貌を遂げてしまう様が描かれています。朝から晩まで頭の中はバイクのことばかり、死ぬときはバイクで死にたいという彼らの心情はかつての自分とも重なりますが、1980年代の日本のバイクブームを思うと、「アメリカのブームが10年後に遅れて日本にやってくる」という話が頭をよぎります。
『マッドマックス怒りのデス・ロード』『ヴェノム』のトム・ハーディや『ウォーキング・デッド』のノーマン・リーダスが出演しているのに、なんでしょう?この上映館の少なさは。バイク好きなら排気音だけでも充分に堪能できる映画でした。これを観たら、なんだか久しぶりにジョン・トラボルタ主演の胸熱おバカ映画『WILD HOGS(邦題:団塊ボーイズ)』を観直したくなりました。こちらは『グリーンブック』同様にクルマやバイク好きでなくても泣き笑いが堪能できるロードムービーです。
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『グラディエーター』を観たのはずいぶん前の話で、うっすらとした記憶しか無いまま旅先の松本で観てきました、リドリー・スコット監督の『グラディエーターⅡ』。リドリー・スコットといえば、『トップガン』『ビバリーヒルズ・コップ』で有名な故トニー・スコット監督のお兄さんであり、また、『エイリアン』『ブレードランナー』『ブラックホーク・ダウン』など数々の名作で楽しませてくれたレジェンドですが、監督としてのピークはふたりとも20〜30年前だよなぁ~…という印象です。それでも、80〜90年代のワクワク映画ファン世代としてはスコット監督の名には否応なく反応してしまいますから、(何故今さら続編を??)と訝しく思いつつも『グラディエーターⅡ』を観てみることにしました。
観終えた感想としては、薄っぺらい大作映画だぞ…です。技術は格段に進歩しているはずなのになんだか古臭く感じてしまう映像(サメ、そんなチープな動き!?)とか、どの登場人物にも感情移入しづらい薄いストーリー(敗戦国家から集められた奴隷がローマ帝国の理想のためにいきなり団結する?)とか、結局「なんで今さらもう一度グラディエーターだったんだ??」と呟いてしまう続編でした。驚いたのはマクリヌス。上映中ずっと(誰かに似てるなぁ~、誰だっけ?)と思いながら観ていたのですが、なんとデンゼル・ワシントン!!『イコライザー』シリーズのイメージが強いから、あまりにも痩せていて気づきませんでした。
彼の演じた奴隷商人とか主人公を助ける医者とか、人物像をもっと厚く描いていけばさらに壮大で深い物語になると思われるキャラは何人もいたので、最初から『ロード・オブ・ザ・リング』のような三部作で20年前に制作&連続公開されていたら、さぞかし素晴らしい映画だったろうなぁ~…と妄想。
今年後半の映画ザンマイは、どうも個人的大アタリがないままに年末を迎えてしまいました。
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