東北の旅文

雪化粧の鶴ヶ城

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快晴です。天守からは遠く磐梯山も眺めることができるはず!ということで、街中で絶賛開催中の道路凸凹ツルツル祭りに、しかも二日連続で参加するのはホントに不本意なんですけど、ここはグッと堪えて、鶴ヶ城にも立ち寄っとくことにしました。

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昨年の絵ろうそく祭り以来、一年ぶりの鶴ヶ城。朝っぱらから、団体観光客がゾロゾロと歩きながら例の甲高い声でなにやら喚いています。そんな某国人ったら揃いも揃ってパステルカラーとサングラスが大好きなので、声を聞かなくてもすぐにそれとわかります。

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赤瓦に雪を被った天守閣が見えてきました。復元天守ではありますが、いつ見ても美しいシルエットです。

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久しぶりに天守にも入場して、雪に覆われた会津の街と、周囲の山々の遠望を楽しみます。何度見ても、やはり松平容保公に似ているぞ、スギは。

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ここから眺める限り、実に美しい東北の雪景色なんです。ここから眺める限りにおいては…ですけどね。凍結凸凹ツルツル祭りが今まさにこの鶴ヶ城の周辺でも開催されていると思えば、なかなかにゾッとする景色です。

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『会津娘』の【春泥】もちゃんと手に入れましたし、リッター200円オーバーの高級ガソリンを満タンにしたら、会津若松インターから愛知県へとひた走ります。今回の東北旅は初めて訪れる二か所の温泉地に、保険として慣れ親しんだ会津若松を組み合わせたつもりでしたが、最強寒波のせいで、よりによって大好きな会津の街が一番寛げなかったという結末になりました。ホント、もうしばらくは会津カンベン。

後日、洗車を済ませて給油したら、リッター180円。決して安くないのになんだかありがたく感じちゃいます。愛知県民はまだ恵まれているほうだと思わなきゃですね。さらに言えば、大雪に埋もれてしまった道の駅や日産ディーラー駐車場の充電スタンドの光景を目の当たりにして、やっぱEVには乗りたくないなと。

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東山温泉(福島県)

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2月上旬からの最強寒波襲来で、観測史上最多の積雪量となっていた会津若松。昨年は絵ろうそく祭りを楽しみましたし、冬の会津若松にはもう何度も訪れていますが、全国ニュースで報じられていたとおり、今冬はとんでもない状況でした。より日本海に近かった北方の山形県よりも、この市街地での雪道走行に悪戦苦闘することに。いやはや、どっと疲れました。

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除雪作業で迂回を余儀なくされ、どのあたりを走っているのかよくわからなくなりながらも、なんとか道の駅『ばんだい』まで。ここも雪に埋もれていますが、駐車場はきちんと除雪されていたので、暖かい館内でホッとひと息でした。

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ここは毎回楽しませてくれるので、いつも立ち寄るのが楽しみです。モンベルや、すぐ近くにあるカメラ&レンズメーカーSIGMAの展示販売も。ドリップコーヒーやネコのおやつなどを買い求めました。

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いつもなら遠くから見えているあの巨大な白い観音像も、一面の銀世界に溶け込み霞んでいて、すぐ真横を通過するまで気づきませんでした。ほどなくして、アチコチで渋滞が酷いことになっている会津若松市に突入。さて、ここからが極悪です。とりあえず、いつものように『柏屋』で買い物を済ませ、日本酒買い出しのために『渡辺宗太商店』へ移動しようとしましたが、住宅街に入ったとたん、スタックしたトラックに阻まれて危うく共倒れしそうに。ヒィーヒィー言いながら、悪さをするトラクションコントロールをOFFにしてなんとか脱出。まったく除雪されていない住宅街の路地に(ヤベェ~ぞ、こりぁ)と思いながら宗太さんを諦め、なかなか進まない渋滞を我慢しつつ、会津若松駅の南を抜けて七日町方面へ向かうことに。

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あの当時、踏切から会津若松駅の南側に抜け、『フジグランドホテル』前の交差点を通過した人ならわかっていただけると思います。酷かった!すれ違う渋滞の列から一台ずつ、交互に、走行ラインをよく考えてから突入しますが、まるでトライアルの大会でセクションインを待つ心境。こうなると、最低地上高の低さがツラい。許されるものなら歩いて下見したかったです。鉄道も動いていないのに、踏切越えの渋滞の列がなかなか進まないのもこれが原因でした。除雪されぬまま踏み固められて凸凹に陥没して凍った道を、事故らないように、スタックしないように。すれ違う軽自動車のおばちゃんも、必死の形相でガコンガコンと飛び跳ねながら走り抜けますが、その周辺では、まるで面白いアトラクションでも眺めるように何人もの見物人が。途中で前に入れてあげた軽ジムニーのドライバーのことが心底羨ましかったです。

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ようやく到着した七日町も渋滞&凸凹。目指したバーガーショップもやっておらず、疲れも倍増です。クルマをコインパーキングに停めたままにして、『田季野』まで歩くことにしました。

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交通量がある市街地なので、カチカチに凍った積雪をみんながスタッドレスタイヤでツルツルに磨き上げ、深い溝や穴を設けます。すると、軽自動車は上下に飛び跳ね、パネルトラックは左右にあり得ない角度まで傾き、車高が高くないクルマは前後にガコンガコンと底打ちしながら走るアトラクションロードに。これにはホントに参りました。会津若松市は「もうすでに今年度の除雪費は底をついた」と2月早々には発表していましたが、近隣の猪苗代町や喜多方市ではここまで酷い状況には遭遇しなかったので、雪の積もり始めたタイミングでの除雪対応の差なんでしょうね。歩道も埋もれて使えないし、片側二車線の国道も除雪した雪を積み上げて一車線しか走れないし、駅前では、徒歩での買い出しと思しき高齢者が荷物を雪の上に投げ出し疲労困憊のありさまで座り込んでいましたし、今回は、大好きな会津若松の意外な一面を見た気がしました。

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それでも徒歩が一番安全とばかりに、なんとか『田季野』まで歩き、今宵の晩メシとなる輪箱飯をテイクアウト。途中、(もしかしたら会えるかも)と、開店前のいつもの居酒屋にも立ち寄ってみましたが、「大将はちょっと出かけてます」とのことで残念ながら…でした。もう『渡辺宗太商店』も諦めて、近くの『植木屋』で日本酒の買い出しを済ませちゃいます。このあとも、クルマを停めてあった七日町から今宵の宿がある東山温泉までの間、会津若松市内を横断しながら、愛車の底をガコンガコン言わせて凍った凸凹道を走り抜けました。壊れるってば。

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手前の会津武家屋敷に立ち寄って【長久保のしそ巻き】を購入してから、これまた深い穴ボコだらけの凍結路ですれ違いも困難な東山の温泉街の狭い道へ。いつも停めている駐車場へと向かうと、「ここはスタックするので」と別の場所を案内されました。ヤレヤレ…です。荷を解いて、酔っ払いながらおいしい輪箱飯を食べ終えたら、さっそく自噴泉に浸かって一時間近くもマッタリ。今日一日の想定外な疲労を癒します。前日まで二泊で酸性の湯に浸かっていたので、東山温泉の湯の柔らかいことったら、もう。朝寝朝酒朝湯が大好きでぇ~♪の小原庄助さんしときましょう。

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翌朝は快晴。(またあの街中を走るのはイヤだなぁ~)と躊躇しましたが、青空に映える雪の鶴ヶ城を見ずに帰るのはさすがにもったいないと思い、再び阿鼻叫喚の会津若松市街地へと突入することにしました。

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中ノ沢温泉(福島県)

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山形県の小野川温泉を出発して喜多方へ。冬の国道121号はいつもと違う景色に…と言うか、左右の雪壁が高すぎて周囲の景色がまったく見えません。徐々に「最強寒波襲来!!」を実感しつつありますが、実はこのときはまだ序の口でした。

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ほとんど行き交うクルマもないまま福島県側に越えて、ようやく左右の雪の壁も低くなった国道121号ですんなりと喜多方入り。久しぶりの『喜一』で朝ラーを堪能したら、今度は国道459号を東に走って雪深い裏磐梯・桧原湖方面へ。昨年の秋にはおいしいジェラートを食べたはずの道の駅『裏磐梯』も雪に埋もれていて、可能なのはトイレ休憩のみ。国道沿いの『会津一望の丘』展望台も除雪されずに埋もれたまま放置でした。

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今宵のお宿のチェックインにはまだまだ時間があるので、まずはいったん猪苗代町に出ます。除雪の通行止めで不案内な迂回を余儀なくされながらも、『牛木精肉店』やスーパーで買い出しを済ませ、国道115号で安達太良山方面へと走り、連泊する中ノ沢温泉に向かいます。野地温泉は雪崩でたいへんなことになっていましたし、高湯温泉でも積雪が原因と思われる不幸な死亡事故が起きました。いずれもかつて宿泊したことのある温泉地ですし、どうにもよそ事とは思えません。今宵の中ノ沢温泉は大丈夫??

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なんとか無事に到着した、中ノ沢温泉。安達太良山と磐梯山の間に挟まれ、かつては湯治場として栄えた温泉地です。スキー客などで、宿はそれなりに賑わっていたのですが、温泉街自体は、吹雪のなか、ゴーストタウンのようにひっそりと静まり返っていました。連泊中の晩メシをあてにしていた食堂も休業。周辺の飲食店を覗き、声をかけて尋ねるも「営業は昼だけ」とのこと。二日間とも朝食は宿ゴハンなのでいいとして、ヤバい!晩メシ難民になる!?

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青根温泉の某お宿ほどではないにしても、館内がかなり寒いのは最強寒波のせいでしょうか?猛吹雪が吹き抜ける露天風呂の壁に吊るされた温度計は、マイナス2℃!!女将さんに「少し熱いかも」と言われていた湯も、いい具合に冷めて適温でした。安達太良山の噴火口にある源泉を約7kmも引湯しているとのことですから、元々はかなりの高温なのでしょう。ここの源泉、単独の温泉湧出口としては日本一の湯量なのだとか。

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(こんな吹雪の中をでかけて晩メシなんて、そもそもムリだったかも…)と思いながら、休憩しつつ2時間ごとに二日間、温泉ザンマイを繰り返しました。強い酸性の温泉で、飲むと薄いレモネードみたいな味がします。あまりにも満喫し過ぎて、肌もやや荒れ気味。でも、万座温泉ほどの攻撃力はないらしく、湯あたりはありませんでした。

ここの温泉街には共同浴場もなく、初日に泊まった小野川温泉よりも寂れた雰囲気です。ここで一泊、小野川温泉で連泊しておけば、肌にも優しく、より楽しめたかもしれません。

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今回がお初の、小野川温泉と中ノ沢温泉。泉質は、甲乙つけがたいくらいどちらも素晴らしい湯でしたが、もしも再訪するなら、やっぱ小野川の湯かなぁ~と思います。

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まったりと二泊三日を過ごした中ノ沢温泉を離れます。猪苗代町まで下ってから、県道7号で道の駅『ばんだい』へ。途中、磐梯山がクッキリと見えていたのですが、やがて猛吹雪のホワイトアウト。リアフォグランプを初めて使用しながらの会津若松入りです。

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小野川温泉(山形県)

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心配な、大船渡の山林火災。発生から6日が経過してもまだ鎮火しません。約2年前、盛駅から乗車して満喫した三陸鉄道も、線路を跨いでとうとう恋し浜駅のあたりまで燃え広がってしまったようです。駅舎に飾られたあの貝飾りはどうなったのか…。

宮城から岩手にかけての海岸沿いを走ると、山の高台へと繋がる道沿いに[〇〇団地↑]といった案内をよく見かけます。東日本大震災の津波で被災された方たちの新たな暮らしの場だと思いますが、今回はその山側がたいへんなことに…。雨、降れってば。

 

気を取り直して、東北旅初日の話を。

愛知県を朝6時に出発。『すき家』で大好物の【牛まぜのっけ朝食】を平らげてカロリーチャージしたら、あとはひたすら高速道路。中央~長野~上信越~北陸と、各自動車道をひた走り、新潟市内を通過後もいつもの磐越自動車道ではなく、日本海東北自動車道で淡々と荒川胎内インターまで。初日は山形県まで約600kmの道のりなので、高速道路ではACCや車線逸脱抑制などのサポート機能をすべてONにして、楽チンお任せ運転に徹します。

伊那路あたりまでは雲ひとつない快晴で、左手に見える冠雪の駒ヶ岳を(実に美しい…)と眺めていましたが、信州中野インターあたりから天候は急変。ホワイトアウト状態の長野新潟県境を通過しながら、何度もペースカー(除雪車)に先頭を塞がれてのノロノロ渋滞行列走行を強いられつつも、全車速追従ACCのおかげでイライラせずに済みました。

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荒川胎内インターで降りて右折、荒川沿いを東へと走る国道113号で県境を越え、山形県入り。それなりに大きな川でしたが、川面は氷に覆われていました。

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冬の肘折温泉を訪れた7年前よりも、今回のほうがより積雪が多い気がします。市街地では除雪車が頻繁に行き交って、住民総がかりで除雪作業をしている様子が印象的でした。そんな中を通過させていただき、感謝です。

今回の旅では、初めて訪れる温泉地を二か所選んでおり、最終日には会津若松まで南下しますが、まずは泉質自慢がとっても気になる、山形県は米沢市西方の小野川温泉へ。

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温泉街につくられたかまくらで、周辺の店から出前を頼んで食べることができると聞いて楽しみにしていたのですが、そもそもかまくら自体が宣伝するほど大規模でも風情溢れるものでもなく、さらには出前を利用できる時間帯も限られていたことから、ちょっと覗いたら「寒いし、もうイイヤ」って感じでした。とっとと宿に向かいます。

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濃厚な源泉を存分に満喫します。飲泉してみると、ほのかな塩味。肌に優しい湯で、いつまでも、何度でも浸かりたくなる気持ちよさでした。

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晩メシついでにちょっとブラブラしてみましたが、想像していたよりも元気を感じる温泉街です。今回は寒くてムリでしたが、共同浴場も二か所。夏に来れば、浴衣で散歩がてらの湯めぐりも楽しめそうです。まずは豆もやしラーメンとサッポロ赤星を堪能したので、宿へと戻り、今度は温泉街の酒屋さんで手に入れた『上喜元 雄町50』と宿の湯を堪能します。今旅、すべての宿を晩メシなしプランにしたのは、ここから夜更けまでをのんびりするためでしたが、ホントにいい湯でしたから、初日からさっそくゆったりと楽しむことができました。

 

もちろん朝風呂も楽しんだ、開湯1200年の湯治場・小野川温泉。かまくらはちと残念でしたが、肘折よりも愛知県寄りで白布にもほど近く、山形・宮城・福島の近隣温泉地と組み合わせることで八幡平や八甲田周辺みたいな温泉ざんまいが叶いそう。【米沢八湯】巡りでもいいし。

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翌朝は宿でシンプルな朝食をいただいたら、ダンロップのWM03に頑張ってもらって、国道121号で県境を越えて福島県入り。まずは喜多方市へと向かいます。久しぶりの朝ラーです。

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半・泊食分離の東北温泉旅へ

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昨年暮れの信州松本旅以来となる、今年初めてのお泊り旅。ここ数年、〈年末に松本&年始は東北〉がルーティン化していますが、今回のテーマは「温泉をのんびり満喫できる時間を増やす旅」です。目指すのはもちろん、大好きな冬の東北。宿のプランは一泊二食ではなく朝食のみを選び、晩メシをセルフにすることで、

・夕食時間を気にすることなく、酒と風呂をより堪能できるのでは?

・他の客が夕食中に、風呂を独り占めできるのでは?

という目論見でした。果たしてその結末は、

〇 確かに、温泉は貸し切りで満喫できる

× でも、寂れた温泉街で飲食店やコンビニを期待するのは難しい

でした。事前にグーグルマップ上で温泉街の飲食店や個人コンビニ店をチェックしてはいたものの、いざでかけてみると営業していなかったり、営業時間が違ったりして、結局、持参していた酒のツマミとカップ麺に頼ることもありました。まぁ~、それでもちゃんと満足はするのですが、連泊となるとこれもなかなか厳しい(事前の買い出しにも頭を使う)ものがあります。やはり、草津温泉のように外メシが前提の温泉街か、以前にも行ったことがあって勝手のわかっている温泉街でないと、泊食分離のハードルは高いようです。昨年の秋に東北各地で楽しんだ街ブラシリーズの宿泊先は街のホテルでしたが、それでも酒田市のように「アレ?こんなにも無いの!?」ということもあるわけで、市街地から距離を置く温泉地であればなおさらですな。

とにもかくにも、東北旅2025の一回目。今回は、山形県の小野川温泉、福島県の中ノ沢温泉、そして同じく福島の東山温泉を巡りますが、出発前からしきりに全国各地で最強寒波の混乱が報じられていましたし、特に会津若松では、観測史上最多の積雪で絵ろうそく祭りも中止との発表が。祭りは去年観ておいてよかったけど、こんなときに行って大丈夫??(ダイジョウブヂャナカッタケドネ)


まずは、泊食分離&道中の昼メシの様子をまとめました。

 

【北陸自動車道 米山SA下り フードコート】

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ときどきお世話になる米山サービスエリア。正直、あまり期待せずにあじフライ定食を頼んでみたら、揚げたて&肉厚のとてもおいしいフライでした。

 

【小野川温泉 龍華食堂】

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ラーメン消費量日本一の山形県。今回は人気店ランキング入りをするようなラーメン店ではなく、小野川の温泉街にある『龍華食堂』で晩メシ。地元の伝統野菜である豆もやしと温泉で茹でたラジウム玉子が入った冬季限定、その名も【豆もやしラーメン】を。実はここのラーメン、温泉街につくられたかまくらの中で出前を頼めると聞いて楽しみにしていたのですが、実施は昼間帯のみとのことでガッカリ。でも、雪降る温泉街のラーメン屋で、おいしいサッポロ赤星とともに食べるラーメンも、けっこう楽しめました。ただ、豆もやし自体は特にウマいわけでもないですけどね。

 

【中山道ハムサンド】

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猪苗代のスーパーにて、ソフトフランスロールパンとレタスを買い出し。保冷バッグから取り出した『中山道ハム』の生ハムを挟み、持ってきたマヨネースやら胡椒やらの調味料セットで味付けしたらサブウェイふうに。これはかなりおいしい昼メシでした。やっぱ、『中山道ハム』の生ハムの味と食感が絶妙です。

 

【チーム・カップ麺】

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自宅でも旅先でも、あれば便利なカップ麺。東北・信越限定の『焼きそばBAGOOOON』はスープ付き。窓の外の吹雪を眺めながらの暖かい汁モノは、なおのことありがたかったです。

 

【猪苗代町 牛木精肉店】

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猪苗代の街中、住宅街の路地裏にひっそり(雪に覆われてなおさら)と佇む精肉店。予約の品を受け取るために、地元の人たちがひっきりなしにやってきます。【会津馬刺し ロース】や【ハムカツ】【唐揚げ】【コロッケ】を注文。しばし待ちますが、コロッケ類はその場で揚げてくれます。馬刺しは今までも宿や居酒屋などで食べる機会がありましたが、個人的にはここの馬刺しが一番おいしいと感じました。この晩メシは、どこか懐かしい味の揚げモノともども、あっという間のペロリ。ついつい酒もすすみます。

 

【喜多方ラーメン 喜一】

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いっとき、「夜中に愛知県を出発して喜多方に朝イチ到着、そのまま『喜一』で朝ラーしてから東北旅スタート!」というプランにハマッていましたが、最近、休業日だったり大混雑だったりでずっと食べ損ねていました。ちなみに、去年の秋に訪れたときには長蛇の列の『坂内食堂』も断念。個人的には「喜多方ラーメンなら喜一か坂内」派なので、久しぶりの『喜一』、食べる気満々でした。

今回は、山形の小野川温泉から国道121号を下ってきて、9時半ごろに到着。いつも満車の駐車場もなんなく停めることができ、長い順番待ちもないままいきなり着席。2時間前に宿でも朝食を食べていますが、まぁ~、『喜一』は別腹ッス。前回はたしかしょうゆにしましたので、今回は一番好きなSioラーメンを注文。値上がりしましたが、それでもまだ700円ですからその安さにはいつも感激します。チャーシューなしなら550円ですからねぇ~。アレ?もしかして、逆にメニューからチャーシューメン設定が消えた??

食べ終えて店を出る頃には、いつもどおり店内満席&駐車場も満車。なんともきわどかったですが、すんなりと食べられて大満足でした。

 

【会津若松 田季野】

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素朴な奥会津檜枝岐の曲げわっぱに盛られた、創業52年の老舗『田季野』の輪箱飯。2年前に『田事』で食べたことは憶えているのですが、ちょいちょい訪れているはずの『田季野』がいつ以来なのか、さっぱり思い出せません。今回は東山温泉での晩メシ用なので、移設復元された立派な旧陣屋構えのお店まで雪の中をトボトボ歩き、テイクアウトで【よくばり輪箱】を頼みました。『田季野』のテイクアウトは二度目。出来上がりを待つ間、お茶でもてなしていただけるのですが、今回は大雪の中を訪れたからか、帰りも足元を心配して表まで見送っていただき恐縮でした。店先にあった、かわいい赤べこの【AiZ's-RICE】、欲しいぃぃぃ~~~~!!!!

宿に到着後、風呂上がりにさっそく食べてみれば、以前に店内で食べたときの記憶と比べても、より一層おいしく感じます。時間経過で味が染みるのか、ごはんがいい具合に冷えるのか、なぜだかよくわからないのですが、とにかく激ウマでした。2,640円はなかなかの価格ではありますが、ついつい頼みがちな(しかも、より高額な)【かに輪箱】や【いくら輪箱】よりも、断然こちらのほうがオススメです。

 

【会津若松 イタリア料理パパカルド】

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除雪されぬまま凍結祭りで街中が大混乱となった会津若松市内で、いつもの買い物(柏屋さんやら地酒やら)を済ませつつ、昼メシはずっと気になっている七日町のバーガーショップへ。いつ行っても臨時休業で、そのたびに店の前で「うそぉ~!?」と仰け反ってきたわけですが、今回こそはと「三度目の正直」のつもりで。でも、「二度あることは三度ある」というオチなのでした。歩道にうず高く積もった雪を踏みしめ、頑張って歩いて向かったのに…。

途方に暮れてしまいましたが、ほど近い場所にある『パパカルド』がこの昼メシ難民を救ってくれました。私にはちとオシャレすぎましたけどね。

 

【北陸自動車道 黒崎PA上り モスバーガー】

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最終日。東北を離れて愛知へと帰る途中の北陸自動車道パーキングエリアで、七日町バーガーの代わりに『モスバーガー』しておきましたが、初めて頼んだポテトのLサイズ、ズッシリ重くてビビりました。このシンプルな【チリドッグ】ならぬ【チリバーガー】は限定品??

 

【いつもの買い出し品】

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『柏屋』では定番の三品を。道の駅『ばんだい』ではドリップコーヒーのセットを。そして、帰りの北陸自動車道SA・PAでは【ままどおる】を購入しました。買い出し日本酒は、いつもの『渡辺宗太商店』ではなく『田季野』にもほど近い『植木屋酒店』に立ち寄り、【笹正宗】と【宮泉】を。【春泥】は、鶴ヶ城近くのとある店でしか買えない一本です。

 

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東北旅◆喜多方で旅の終わり

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[山形県・福島県]

お宿の御隠居が嘆いていましたよ。「スカイバレーが無料化されたら、早朝からバイクが走り回るようになって事故も増えた。困ったことです」と。確かにね、とってもうるさかったです。

そんな白布峠を越えて七曲りをクネクネと下ったら、県道64号線で喜多方へと向かいます。すんなり帰路につこうかと思ったのですが、喜多方通過がちょうど昼どきになるし、せっかくなので、最近ご無沙汰の『坂内食堂』に寄って行こうと考えまして。

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その前にちょっと寄り道して、道の駅でジェラートを。カフェオレと抹茶の組み合わせにしたのですが、このカフェオレ、相当ウマしでした。暑すぎるので、すぐに溶け始めて慌てましたけど。少しでも福島を味わってから帰ります。

 

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結局、『うえんで』に飛び込みました。順番を少し待ちましたけどおいしくいただきました。『うえんで』は、これで本店、山鹿店、そして本日の喜多方店と、全店舗制覇です。「なんで喜多方でわざわざ会津山塩ラーメン店!?」と言われそうですが、とんでもなかったんですよ、『坂内食堂』の行列ったら。南側の神社くらいまでの行列なら頑張って並んだこともありますが、今日はそこからさらに西側の住宅街に折れ曲がって列が伸びていたし、表通りに新しく設けられた広い駐車場も満車でクルマも停められず。だから、すんなりと諦めました。『うえんで』でおいしく食べ終えたあとに『坂内食堂』の前をもう一度通ってみましたが、そこらじゅうが冠水し始め、雨雲レーダーも真っ赤な強烈な土砂降りの中、相変わらずの長蛇の列でした。せっかく並んだら、特に初めての人なら諦めきれないですよね。お店の人が傘を配っていました。優しいね。ともあれ、とっとと『うえんで』に行っといて正解でした。

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喜多方市内から郊外へと抜けました。磐梯山はきれいに見えているのに、喜多方市にだけ、ものすごいスコールの影が空から降りているのが見えます。おかしな天候です。

あとはもう、ひたすら愛知県を目指すだけ。今回の旅は東北6県すべてを巡るも福島だけお泊りナシでしたが、最終日に少しだけ堪能できました。なんだかんだで、福島旅の回数が最も多いと思うので、これはこれでよかったのかなと思いつつも、それでもやっぱり(う~~ん…去りがたし、福島!!)という気持ちをズルズルと引き摺ったまま、会津坂下インターで磐越自動車道にイン!…でした。

 

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今回の旅、走行距離は延べ2,500km。いつも長距離を走ると眠気との戦いですが、今回はドーピングしてみました。麻薬ならぬ、魔薬。カフェインの錠剤です。こんな薬を薬局で買えるなんて知らなくて、今回初めて使ったんですけど、実はメジャーなんですかね?半信半疑で初日の600kmひた走りから服用してみましたが、確かに1時間ほど経つと眠気が飛びます。説明書には「大脳皮質の感覚中枢を興奮させ精神機能を活発にする」と書かれていますが、だっ、大脳皮質って、ちょっと怖い。「満腹中枢」を刺激してぇ~…とかならよく耳にしますが、「大脳皮質の感覚中枢」って、イジってもいいものなのでしょうか??

実際に使ってみた感想としては、『ノンストップで走り続けるため、眠気覚ましにコーヒーを飲む』というやりがちな方法だと結局はコーヒーの水分と利尿作用でトイレ休憩を強いられて走り続けられないけど、このカフェイン錠剤なら水分を控えていればホントに走り続けるゾと。まさに魔薬でした。次回の旅にも、ぜひ持っていこうと思います。私に翼を授けるのはエナジードリンクではなくカフェインの錠剤、というお話でした。

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土産もアレコレ。酒は『豊盃』と『上喜元』の2本だけ。『田酒』を手に入れることができなくて残念でした。

街ブラと、【東北・一度は行っておきたい】シリーズのコラボ旅。酒田市・秋田市・青森市・盛岡市、龍飛崎・不老不死温泉・白神山地・山寺。そのすべてが無事達成できたので大満足です。愛知県もふたつの半島を持ち、県の南側は全てが海に面していますが、男鹿や津軽で見られるような絶景は、どこを探しても見当たりません。今回、秋田や青森の日本海をきちんと訪れてみて良かったです。

冬旅で福島ザンマイしましたし、今年の東北は今回の秋旅にて終了。また来年も【行くぜ、東北。】です。大好きなので。

 

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東北旅◆ランドマークと名湯

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[山形県]

過去にも何度か触れていますが、山形蔵王の麓、国道13号線沿いにある思い出の野営地(自動車販売店の洗車機の中)の横を通過するたびに、懐かしさがこみ上げます。で、そのすぐ近くにあってとても印象深いのがこの高層マンションでして。たまたま信号待ちで写真に収めることができました。これ、初めて見たときには(なんでいくらでも広い土地が確保できそうな場所でわざわざ高層マンションなの??)と不思議でしかたなくて、で、気になって調べてみたら、「冬の雪かきの重労働から解放される素晴らしさ」とかなんとかで、なるほどそういう事情もあるのねと。以来、旅の途上で国道13号線を走るたびに、遠方からでもよく見えるこのマンションが、私のランドマークとして定着している次第です。

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ちなみに、山寺の参道で寒ざらし蕎麦のお口直しにと食べたずんだ味のソフトクリームも、これまた凶でした(クドイって)。

山寺を離れ、本日のお宿はいよいよデッシーおすすめの白布温泉です。白布といえば、33年前の初東北ツーリングでの最初の宿泊地でして、以前にも書きましたが、宿の軒先に停めてあったSRX600が夜露に濡れないようにと、畳んだ段ボールとかをかけてくれていた仲居さんを翌朝見てとても感動した、私の大切な大切な思い出の宿があるところなのですが、実は2021年の夏ツーリングで、その同じ宿に30年振りの宿泊を実現していたのです。で、(宿の御主人とも当時のことを色々語り合いたい)などと夢見てでかけたにもかかわらず、いざ泊ってみたらあのときの好印象はどこへやら、《思い出は思い出のままに》のフレーズが頭の中でリフレインしてしまいまして。そんなこんなで、あまりにもガッカリしすぎてここではまったく触れずにいたのですが、その当時、愛知県に帰ってから、デッシーには旅話のひとつとして事の顛末を聞かせていた(愚痴っていた)のです。

そしたら去年だったかに、ヤツが「職場の同期と、白布温泉に行ってきました!サイコーだったッス!」と、ドヤ顔で言うわけですよ。なんだって!!あの白布に!?しっ、しかも、サイコーだと????

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そういう経緯で、この旅の最後を飾るにふさわしい(か、どうか半信半疑のまま)宿として、デッシーのオススメ(当然ですが私の思い出の宿とは別の宿です)を選んでみたわけです。白布、三度目の正直となるのか…と、ほんのりほのかに期待して。

ちなみにデッシー曰く、「食事はあまり期待しないでいただきたい。フツーです、フツー!!普通と言ってもイメージ的に上・中・下があると思うんスけど、なんならここはチューです」「でも、ここの温泉は素晴らしいッス。きっと師匠も感動します。マチガイナイ!!」とのことでした。デッシーも、なんだかんだと東北各地の温泉を巡っていますから、あながち間違ったことは言っていないと信じて、33年前の私の記憶の上書きを、是非ここで!!

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いやはやホント、これは参りました。こんなにも大量の湯の花が湯舟に舞う温泉、初体験です。濁り湯ではないので、透明な温泉の底に沈殿している湯の花が、まるで御影石の模様のようにはっきりと見えているのですが、湯を掻き混ぜたとたん、大小さまざまな湯の花が踊る踊る!舞う舞う!

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まるで雪が舞う万華鏡の中に裸で入っているかのような美しさでした。身体にまとわりつく湯の花を愛でながら、ずっと「スゲェー」「うわっ、スゲェ~!!」って叫んでいましたから、昼間の山寺での歩き疲れもすっかり吹き飛んで(凶は忘れないけど)、湯の花に興奮し過ぎた疲れがついには湯あたりのようにどっと襲ってくる始末。

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以前、旅行サイトの口コミ欄でも話題になったじゃないですか。湯の花を見て「掃除してない!」とか「湯が汚かった」とか書きこむバカがいると。「ゴミが浮いていた」って口コミに至っては「ゴミは、湯の花も知らないおまえのほうだ」ってことでずいぶん笑い者になっていましたが、この温泉の湯の花なら、誰も汚れだとは思わないのではないでしょうか。それくらい美しいのです。

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ちなみに食事は、デッシーの言っていたとおり極々普通でした。苦手な鯉が出てきたのがちょっとねぇ~…くらい。

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帰宅後、改めて33年前のアルバムを開いてみました。まだウインドウズ95もなければ、スマホもデジカメも存在しない時代ですから、フィルムで撮った写真の枚数はほんのわずかで、もしかしたら2000年に発生した白布温泉火災以前の、茅葺屋根の原風景が一枚くらい撮れているのではと期待したのですが、片隅にも写っていませんでした。代わりに当時の領収書が挟んであったので開いてみたら、33年前の宿代が14,000円でした。あのときの私は、夕方近くの飛び込み独り客でしたからやや割高だったのかもしれませんが、それにしても今どきの温泉宿の価格と比較しても遜色ない価格なので驚きました。当時ならツーリングで1万円以上の宿に泊まるなどという贅沢は自主規制&絶対禁止でしたから、きっと初めての東北の温泉宿で気持ちが高揚していたのでしょう。白布温泉の思い出ぽろぽろ。上書き完了です。デッシーは近々、同期と秋田県の温泉巡り旅にでかけるらしいので、また新たなオススメ宿の現地調査結果を聞かせてくれることでしょう。

それにしても今回の旅、温泉についてちょっと思うところが。今までも自噴泉とか、源泉かけ流しとか、趣きのある建屋やロケーションとかには拘ってきましたが、今回のように湯そのものが美しいと感じたことは一度もなかったなと。そこで、湯そのものが強く印象に残った温泉ってどこだっけ?と、記憶を辿ってみると、≪長野 白骨温泉・泡の湯 内湯源泉≫、≪長野 田沢温泉・有乳湯≫、≪鹿児島 湯川内温泉・かじか荘≫、≪秋田 玉川温泉・大浴場源泉≫、≪宮城 中山平温泉・琢ひで≫≪青森 蔦温泉≫。あと身体にはちょっとキツいけど≪群馬 万座温泉≫くらい。思い出せるのは、たぶんこの7湯。今回の白布の湯が加わっても8湯ですね。う~~~ん…「いい湯だなっ♪」って、ホントはどういうことを言うのでしょう??

帰宅してから、20年ほど前に読んだ『温泉教授・松田忠徳の新日本百名湯』を本棚から取り出して目を通してみることに。どんな温泉が紹介されていたのかを改めて見直したかったのですが、そんなことよりも、《まえがき》に書かれた言葉に心を奪われてしまいました。ちょっと長いですけど、ここに紹介しておきます。

【湯浴みの原点は湯治 ~こころの湯浴みを楽しむ~】

私の住む札幌市の郊外に「豊平峡温泉」という日帰り温泉施設が一軒宿風に立っている。190万都市には場違いと思えるバラック風の質素な外観である。ところがここの経営者は温泉の生命である湯質にとことんこだわっている。"源泉100%かけ流し"にもかかわらず、内風呂や北海道的スケールの大露天風呂の温度管理が行き届いていて、一時間でも二時間でもゆっくり浸かっていられるのだ。

わたしは豊平峡を大雪山中の秘湯に匹敵する一級の湯質と評価しているのだが、何よりも嬉しいのは入浴客の60%を占める若い男女がこのことを直感的に理解しているらしいことである。サウナもバイブラバスも無く、施設的には公共温泉に比べれば月とスッポン程の差があり、料金も二倍は髙い。ところがここの入浴客はじつに贅沢な風呂の入り方を楽しんでいる。それは頭や体を洗うことよりも心を洗うことを優先させているふしがあるからだ。

わたしたちはなぜ、温泉に行くのか。体を洗うだけなら家庭風呂で十分なはずだ。なのにわたしたちははるばる北海道や九州の温泉に行き、洗い場のシャワーに直行している。いつから日本人はそんなに貧しくなったのだろうか。飛行機代や新幹線代をかけて2、3万円もの宿代を払いながら、家にいる時と同じように頭を洗い体を流している。ふんだんに湯が使えることに喜びを感じているのだろうか。非日常を求めて旅に出たのにわたしたちの頭そのものが日常のままだから、風呂の入り方すら切り替えられないでいる。環境や相手にばかり非日常性を求めている。

「温泉の原点は湯治である」と心ある経営者はいう。湯質や周囲の環境を大事にしたいということだろう。この言葉の意味を今、入浴者こそが考える必要がありそうだ。「温泉の原点は湯治だ」。ならばわたしたちは湯治の流儀を思い出したらいい。湯治場で頭や体を洗い流しているせわしい構図は思い浮かばないはずだ。ゆったり湯に浸かったり、洗い場の床に横になったり、会話を楽しんだり…。そこには日常にはない贅沢な時間が漂っているはずだ。手始めに温泉に行って洗わないことの贅沢さを堪能してほしい。心身を清浄にすることが豊かさにつながることを、わたしたちの祖先は古来知ってきたはずだ。豊平峡のような一級の温泉とやすらぎの雰囲気が、若い人たちにシャワーに向かうことを忘れさせてしまった。

露天風呂にまでシャワーを求めないでほしい。わたしたちの心の貧しさが、余裕の無さが、これまでどれだけの宿をつまらなくしてきたか思い出してほしい。"温泉力"を秘めた本物の温泉は、世代を超えて日本人の温泉DNAのようなものをよみがえらせてくれるはずだ。さあ、"こころの湯浴み"にでかけよう。

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東北旅◆山寺と寒晒し蕎麦

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[山形県]

夜中から、かなりの大雨が降り続いていました。本日は、今旅最後の【東北・一度は行っておきたい】シリーズ、山寺に向かう日です。なので、できれば止んでほしいの、雨。

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このエリアの横移動にいつも使う蔵王エコーラインではなく、国道286号線で峠越えをしてみることにしました。

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笹谷峠。降雨のせいもあってか、なかなかの険しさです。そりぁ、皆、山形自動車道を使うわけですね。霧の中に浮かび上がる、頭上の鉄塔の巨大さにビビリながら峠をクネクネと。晴れた日に単車で走るなら、きっと楽しいんでしょう。ツーリングマップルにも「山形県側は絶景だ!」って書いてあるし。

午前11時、山寺・立石寺に到着しました。観光バスも停まっていて、さすがの賑わいです。まずは駐車場ですが、ズンズンと奥まで進んでいくと、線路の高架をくぐる手前の左手に[根本中堂・山門駐車場]があります。ここが根本中堂の直近でトイレもあるからオススメです(500円)。

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さぁ~て、頑張って歩きますかっ!!

ここ山寺。ずっと私の【東北・一度は行っておきたい】シリーズのリストには載っていたのですが、なにしろ登るべき石段が1070。なかなかブーツなどの単車装備で真夏に登りたくはないという気持ちのほうが勝ってしまって、ついつい避けていたのです。今回は、芭蕉の『閑さや岩にしみ入る蝉の声』の世界観を、身をもって体感したいと思います。

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『おくの細道』で読んだ、東北を旅する芭蕉に随行して甲斐甲斐しく世話し続けたという曾良の像。心なしか芭蕉像よりも立派でした。

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思っていたほどには山奥ではありませんでした。もっと標高が高くて山深い場所なのかとイメージしていましたが、それでも石段をひたすら登るのはキツかった。とにかく蒸し暑いので、私も周囲の人たちもみな汗だくです。

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で、これなんですよ。問題は!!

どぉー思います、これ!?こんなに頑張って登ってくるのだし、よりによって一番上の奥の院で【凶】のおみくじを出さなくてもよくないですか??せめて、麓の中堂あたりで出た【凶】なら、「ヨシ!今から一歩一歩、ここ山寺の石段で心身を清めよう」とか、まだ気持ちの切り替えもできると思うのですが、ヒィーヒィー汗だくの体で開いたおみくじがこれって…。愕然としましたわ。イヤ、ないわぁ~。辛すぎるわぁ~。

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凶のおみくじを手に、初めての山寺参拝の儀、完了いたしました。このあとの道中、煽られ運転のゴミ野郎と遭遇するたびに「いいのか!やっちゃうよ!今日のおいらは凶だぜ!」と悪態をつきまくっておりましたから、「まぁ~まぁ~芭蕉さま」と旅の不幸を慰めていた曾良のような人物が、私のクルマの助手席にも必要だなと感じた次第です…というオチなんですかね、コレ??

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昼メシは、麓の参道にあった蕎麦屋の寒ざらし蕎麦。昔、冬の会津旅で山都に立ち寄って同じく寒ざらし蕎麦なるものを食べた記憶があるのですが、おいしかったかというと???で、ここも同様に???なお味でした。うん、そうね。やっぱ、凶だわ。

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東北旅◆福田パンと秘湯

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[岩手県・宮城県]

翌朝は早めに起きて準備万端、朝からプチウォーキングにでかけます。

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おめあては、あの大谷翔平選手も食べていたという『福田パン』のコッペパン。7時のオープンに合わせて到着したのに、店の前にはもうすでに数名が並んでいます。

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出張のお土産なのか、ものすごい量を注文している男性もいましたし、順番が来たら好みの具材をチョイスして申告すると目の前で作ってくれるというサブウェイのようなシステムですから、店内はずいぶんノンビリとした雰囲気です。タクシーで乗りつけた女性二人組は待ちきれずに列を離れて去っていきました。

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ピーナッツバターと、たまごと、ダブルソーセージ。せっかくだからと欲張って3個も買ってしまいましたが、宿に戻っていざ食べ始めてみると、とにかくデカいし重い!これはヘビーだわぁ~。コンビニで買うコッペパンのイメージなら1個でも充分でした。でも、どれもホントにおいしかった。これは来た甲斐、並んだ甲斐がありました。コッペパンで腹パンです。

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国道4号線で宮城県まで南下したら、どうやらあの高政の蒲鉾が手に入るらしいと聞きつけた『ヨークベニマル』を探します。宮城入り早々の一軒目で見つけました、いつも三陸女川の直営店で買う大好きな高政の笹蒲鉾。今回は、とある事情によりいつもの≪吉次≫ではなく≪石持≫でしたが、これを昼メシ代わりに2本、コッペパンの残りとともに。どちらもまいうーです。

今宵は、いつものお宿。夕食が食べ切れないくらいの量なので、昼メシは軽めでちょうどよいのです。なんなら昼メシ抜きでもいいくらい。

お宿には午後3時に到着。前回訪れたのが2年前。そのときはちょうど旅に出る前にコロナに罹っていて治るのか?行けるか?と悩ましい状況だったのですが、今回、部屋に通されて早々に「コロナ、その後大丈夫でしたか!?」「あれからいらっしゃらないからどうしているかと心配で…」と声をかけていただきまして。当の本人は、あのときそんなことを話していたなんてことをすっかり忘れているものですから、申しわけないくらいキョトンとしてしまいました。そんなにご心配いただいて恐縮至極にございます。コロナの後遺症は大丈夫ですが、今後は、自分が言ったことをすっかり忘れてしまうワタクシのことを心配してもらわねばならぬのかもしれません。そんなあなたに会えるの(と、高倉健似…ではないらしいアキラ料理長)が楽しみで、こうして遠路はるばるやってくるのです。ちょっと調べてみたら、アキラ料理長の料理を堪能するのは、これでもう9回目。我ながら、贅沢だなと思います。

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私的には、ここはまさに完璧なお宿です。残念ながら今回は連泊ではありませんでしたが、前回再建中だった新湯にも浸かれましたし、いつものおいしい料理の数々も堪能しました。またいつか。あんなにも健康を気遣ってもらって申しわけなかったので、次回は「あれまぁ~、ずいぶんとお元気そうで」と笑ってもらえるよう、小太りメタボリックに身体を育ててから行きましょうかね??

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東北旅◆盛岡の八幡宮と街ブラ

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[岩手県]

酒田市、秋田市、青森市と続けてきた東北の街ブラですが、ここ盛岡市は初ブラです。三陸海岸や遠野、八幡平や花巻、平泉と、今まで岩手県内あちらこちらを走り回ってきて、今日やっと、盛岡の街を歩くことができます。

宿泊先で一息ついてから、いざ街に繰り出したのが午後5時近く。『岩手銀行赤レンガ館』(正式名称・重要文化財 岩手銀行 旧本店本館)は閉館時刻が迫っていて入館できませんでしたから、外観だけ拝んでおきました。

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盛岡八幡宮にも参拝しました。火災や風雪被害で幾度も再建されていて、現在の社殿は1997年製だとか。ちょうど私の前には若い女性ふたり組がいましたが、なにやら身振り手振りで自分たちの前の参拝者の様子を観察しているようです。(そっか、二礼二拍手一礼のやり方を覚えようとしてるんだな)と気づき微笑ましくも感じましたが、同時に(どうでもいいのに、そんなこと…)とも。「大切なことはほかにあるよ」と言ってあげたかったのですが、遠く盛岡の地で「キャー!!」と変態扱いされてはかなわないので、黙っておきました。もちろん私は、彼女たちが無事に参拝を済ませた後、深々と一礼し、静かに手を合わせて挨拶と旅の安全祈願を済ませたら、また深々と一礼して参拝を終えたのでした。

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夕日が社殿を照らしています。振り返ってみると、鳥居の先にはオレンジ色に輝く参道がまっすぐ街中に向かって伸びており、とても神々しい風景でした。

さて、盛岡八幡宮を離れたら、街ブラの途中で三陸居酒屋の文字にそそられて、岩手銀行赤レンガ館からもほど近い『きりや』さんというお店へ。

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「とりあえずビール」的に、あまり期待せずに頼んだ「とりあえず、おまかせ刺盛3種!」のこの刺身でしたが、これがもう激ウマで。今旅イチバンだったかもしれません。初日の新潟で食べた寿司と同じくらいにテンションが上がりました。豆腐もおいしかったし、メニューやポスターを見る限り、特に洋野町(種市)産推しらしく。それってどこ?と地図を確認すると、青森との県境近くにある三陸海岸の町でした。こうしてまたまた、【東北・一度は行ってみたい】シリーズが増えちゃうわけですな。

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ここで、久しぶりに『赤武』も呑みました。こんなに溢れんばかりのテンコ盛りも久しく経験していません。おいしかったです。どうもありがとう!!この店はぜひまた行きたいなぁ~。昨夜の青森Toshiko77もだけど、昨日今日と、二夜連続で大当たりでした。

さぁ~、ホロ酔いで盛岡の街ブラを続けましょ。

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結局、盛岡駅のほうには行かなかったのですが、今旅の街ブラで一番楽しかった(最も多くの写真を撮った)のが、ここ盛岡市でした。温故知新な街の雰囲気がまるで会津若松にいるかのようで、カメラ片手にブラブラ歩いていてもかなり楽しい時間が過ごせました。本日のウォーキングは9キロ。今宵もよく歩きましたぜ。

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